『大学院博士課程は出たけれど』。。。。全員行方不明
『マイナビニュース』というところに次のような投稿が
載っています。まずは引用しましょう。
(長いので部分引用)
研究室の先輩たちがほぼ全員音信不通・行方不明です…。
毎日毎日、教授の仕事の肩代わり、雑用ばかりやらされて
指導は一切されません。論文を読んでくれたことは一度も
ない状態で…。オーバードクターやポストドクターの先輩
たちは、奨学金が打ち切られてもう生活することすらまま
なりません。博士課程までに借りた奨学金は1,000万を超
える人もザラです。奨学金とは名ばかりの借金ですから…。
.........こうういう状 況は、なぜ生まれてしまったのでしょ
うか?大学院で研究をしたいという夢そのものが僕らの人
生を破壊しています。アドバイスをお願いいたします。
(引用終わり)
<以下大槻からの回答>
指導教授があなたの書いた論文に目を通してくれないと
は本当でしょうか。論文を読んでくれなくともセミナーで
は批判やアドバイスをもらっているのではありませんか?
もしそれもなし、というのであればこの指導教授は大学院
教授として不適格者ですから、指導教授の変更を申請する
ことをおすすめします。
『教授の雑用ばかりやらされる』ということですがその
雑用とはどういうことですか。まさか教授 の靴磨き、原稿
の代筆などではないでしょう。普通は研究費の申請書、報
告書の準備や仕上げの手伝いなどを院生にやらせることは
良く聞く話です。しかしこれはまったくの『雑用』ではな
いはずです。
この種の雑用はあなたが将来研究者として独立した場合、
この種の研究費申請と報告書作成のやり方を学ぶ機会とも
なるのです。その機会を学ぶ必要がなくともこのようにし
て教授が苦労して研究費獲得した結果、あなたを始め研究
室の研究が維持されていくのですからなんらかのお手伝い
は当然とも言えます。
さて問題は『研究室の先輩のほぼ全員が音信普通、行方
不明』というのは私にもショックです。ポス トドック援護
制度の活用は『ほぼ全員が出来なかった』ということでし
ょうか。国は若手研究者を育てるためにこの制度を作りま
したが、現状はまったく不十分という声も聴きます。
さらに気になるのはあなたが『博士課程修了』と『大学
卒』を同等に考えている節が見えることです。大学の助教
や講師、准教授の職がほぼ全員に与えられれて当然とお考
えのようです。しかしこれは誤解、勘違いに近いものです。
このような大学の教職、研究職は博士課程、ポストドッ
クで独創的な研究成果をあげ、その分野の学会で注目され
て得られるものです。大学のポストは、学閥がからんだり、
情実人事がはびこったりして不公平 、という批判もありま
すが、最近ではそれも無くなりつつあります。大学も『生
き残り』をかけて良い人材を呼び込もうと競争するように
なってきました。
だからあなたたち博士課程院生にとってもっとも大事な
ことは独創的でその分野の学会で注目されるような業績を
あげることです。若くしてノーベル賞候補クラスの業績の
人を全く職なしのまま放置しておくなどはありえません。
それまででなくとも私が編集長をやっている物理科学雑誌
の『物理科学この1年』の中で取り上げられる50名から
100名の若手研究者でその後『音信普通、行方不明』と
なってる人などありません。
最後にあらためてお願いします。若いうちに『ひとがや
らな いこと、ひとがやれないこと』に挑戦してください。
そこに、道はおのずと開けます。
(丸善出版、物理科学雑誌『パリティ』(大槻義彦編
集長)より部分転載)
載っています。まずは引用しましょう。
(長いので部分引用)
研究室の先輩たちがほぼ全員音信不通・行方不明です…。
毎日毎日、教授の仕事の肩代わり、雑用ばかりやらされて
指導は一切されません。論文を読んでくれたことは一度も
ない状態で…。オーバードクターやポストドクターの先輩
たちは、奨学金が打ち切られてもう生活することすらまま
なりません。博士課程までに借りた奨学金は1,000万を超
える人もザラです。奨学金とは名ばかりの借金ですから…。
.........こうういう状 況は、なぜ生まれてしまったのでしょ
うか?大学院で研究をしたいという夢そのものが僕らの人
生を破壊しています。アドバイスをお願いいたします。
(引用終わり)
<以下大槻からの回答>
指導教授があなたの書いた論文に目を通してくれないと
は本当でしょうか。論文を読んでくれなくともセミナーで
は批判やアドバイスをもらっているのではありませんか?
もしそれもなし、というのであればこの指導教授は大学院
教授として不適格者ですから、指導教授の変更を申請する
ことをおすすめします。
『教授の雑用ばかりやらされる』ということですがその
雑用とはどういうことですか。まさか教授 の靴磨き、原稿
の代筆などではないでしょう。普通は研究費の申請書、報
告書の準備や仕上げの手伝いなどを院生にやらせることは
良く聞く話です。しかしこれはまったくの『雑用』ではな
いはずです。
この種の雑用はあなたが将来研究者として独立した場合、
この種の研究費申請と報告書作成のやり方を学ぶ機会とも
なるのです。その機会を学ぶ必要がなくともこのようにし
て教授が苦労して研究費獲得した結果、あなたを始め研究
室の研究が維持されていくのですからなんらかのお手伝い
は当然とも言えます。
さて問題は『研究室の先輩のほぼ全員が音信普通、行方
不明』というのは私にもショックです。ポス トドック援護
制度の活用は『ほぼ全員が出来なかった』ということでし
ょうか。国は若手研究者を育てるためにこの制度を作りま
したが、現状はまったく不十分という声も聴きます。
さらに気になるのはあなたが『博士課程修了』と『大学
卒』を同等に考えている節が見えることです。大学の助教
や講師、准教授の職がほぼ全員に与えられれて当然とお考
えのようです。しかしこれは誤解、勘違いに近いものです。
このような大学の教職、研究職は博士課程、ポストドッ
クで独創的な研究成果をあげ、その分野の学会で注目され
て得られるものです。大学のポストは、学閥がからんだり、
情実人事がはびこったりして不公平 、という批判もありま
すが、最近ではそれも無くなりつつあります。大学も『生
き残り』をかけて良い人材を呼び込もうと競争するように
なってきました。
だからあなたたち博士課程院生にとってもっとも大事な
ことは独創的でその分野の学会で注目されるような業績を
あげることです。若くしてノーベル賞候補クラスの業績の
人を全く職なしのまま放置しておくなどはありえません。
それまででなくとも私が編集長をやっている物理科学雑誌
の『物理科学この1年』の中で取り上げられる50名から
100名の若手研究者でその後『音信普通、行方不明』と
なってる人などありません。
最後にあらためてお願いします。若いうちに『ひとがや
らな いこと、ひとがやれないこと』に挑戦してください。
そこに、道はおのずと開けます。
(丸善出版、物理科学雑誌『パリティ』(大槻義彦編
集長)より部分転載)
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