赤ちゃんの設計、だと？！

　朝日新聞によるとアメリカで『生まれてくる赤ちゃん
のデザインをして、その設計書にしたがって希望する赤
ちゃんが生まれるような技術開発』に特許が与えられた、
そうだ。このような特許を得た会社は『２３アンドミー』
という。
　親の希望にしたがって、生まれてくる赤ちゃんの病気
のリスクはもちろん、容貌、知性、スポーツの才能など
を選ぶことが出来るというのだ。これはいわば『生命の
操作』ではないか。
　生命の操作は長い長い期間をかけて自然淘汰と進化を
くりかえして行われてきた。それが人類の文明の進歩に
よって人類だけは長い動物の進化のプロセスが人為的に
遮断されている。つまり人類だけは進化のプロセスが大
きく乱され、進化の先が読めなくなっている。
　『乱されて、先が読めなくなっている』だけではない。
人類は自然の進化プロセスを人為的に操作しようとして
いるのだ。２３アンドミーの赤ちゃん設計に従って『知
性の高い』赤ちゃんが世界中で生まれてしまう。すべて
がハーバード大学で博士号取得する。
　思っただけでもゾッとするではないか。こうなるとハー
バード大学の博士号もノーベル賞も希少価値はなくなる。
それよりもっとこわいのはこのような『生命操作』の副
作用である。医学的副作用はもちろん、社会的副作用で
ある。
　私はこれまでどのような科学技術の発展も肯定的にと
らえて来た。戦争のための技術開発すら、人間の幸福の
ために役立つときがくると信じてきた。
　しかし、今回の『生命設計』だけはゾッとする。簡単
に許してはならない技術開発ではないか。