『山の魅力』のつづき

その後もアメリカロッキーやらカナダロッキー、アラ
スカのマッキンレー に感動、感激は続きました。『よし！
最後はエベレストだ！』と気負って出かけたのが１９９１
年の春。ふもとの町で、いくら待っても雲はとれず、山
は見えません。やむなく、５００ドル出してヘリコプター
に乗りました。それでも山は見えませんでした。
　あきらめきれない私は上空１万メートルからエベレス
トを見る計画を立てました。つまり国際航空路を調べて、
エベレスト上空を飛ぶ飛行機便を探しました。ありまし
た！パキスタンエア、北京ーイスラマバードの定期便で
した。私は早速この便でエベレストを見ようと東京ー北
京、北京ーイスラマバード、イスラマバードー東京のチ
ケットを買いました。もちろん、北京にもイスラマバー
ドにも滞在しないのですからビザなど不要でした。旅行
会社の担当者はすこぶる不審顔でした。
　『何ね、ご不審はごもっとも、ただエベレストを上か
ら見たいだけでね』と答えると、なお一層不審顔で、し
ばらく待たされました。大学教授もテロリストになって
もおかしくないですから。この担当者、上役に相談した
りして何とかチケットを発券してくれました。
　エベレスト上空は一点の雲もなく、満月。氷河の山並
みが延々と続いていました。この時のことは今でも夢に
現れます。孫悟空も筋斗雲に乗って、このようにエベレ
ストを超えたのかなあ。
　今、夏場を過ごす、カナダバンクーバーのマンション
のベランダからは南の方向に氷河の山がくっきりと見え
ます。逆に、この氷河を眺めるために、この場所で夏を
過ごすのです。そうです、ベーカー山、３４００メート
ル。　
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