『次世代原発』の怪

政府は危険な現在の原発にみきりをつけて『次世代原発』
に切り替える方針という。それならば、本ブログがこれま
で主張、提言してきたことと同じで、喜ばしい限りだ。し
かしこの報道をよく読むと、そこには恐ろしい問題すりか
えがある。まず、読売新聞の報道を引用しよう。
　政府が中長期的なエネルギー政策の指針となる新たな「エ
ネルギー基本計画」に、次世代型原子炉の有力候補の一つ
である高温ガス炉の研究開発推進を明記することがわかっ
た。高温ガス炉は燃料を耐熱性に優れたセラミックスで覆っ
ているため、炉心溶融を起こしにくいのが特徴だ。国内で
の原発新増設の見通しは立っていないが、東京電力福島第
一原発事故の教訓を踏まえ、安全性の高い技術開発に取り
組む姿勢を示す。
　　　（引用終わり）
　この高温ガス炉はこれまでのウラン燃料を使う点で燃焼後
プロトニウムを大量に生産し、プロトニウムの毒性、危険
性はそのまま残ることから、この原子炉はゴマカシに過ぎ
ない。
　たしかにヘリウム燃料はセラミックスや黒鉛によって被
覆されているのでこれが高温で溶け出すことによって起こ
る危険な炉心融解はある程度防げる。しかしこれも冷却破
綻が起こった場合、被服の温度が２０００度以上に上昇す
れば話にならない。
　またこの高温ガス炉は冷却に水を使わないから水素爆発
は起こらない。しかし水の代わりの冷媒にヘリウムガスな
どが使われるが,これは配管設計、管理が難しい。つまりヘ
リウム漏れの危険が高い。一旦ヘリウム漏れが起これば他
に緊急代替冷却が不可能で炉心の暴走につながる。
　繰り返すが原爆製造のためのウラン燃料を使用すること
に固執するすべての方式が危険なのだ。この意味で政府が
『次世代原発』と称するものは『次世代』と呼べるような
安全な原発ではない。